Tora1014 スクラップブック
 日本人て不思議なもので、個人としては世界一口うるさい消費者でしょう。その厳しい目が、日本製品を鍛えてきた。所が、その世界一口うるさい消費者は、なぜかマスとしての発言はほとんどしないんですね。
 通貨の問題でも、円高が日々の私たちの生活にどれだけ貢献しているかを消費者目線で評価することはまずない。それどころか昨今は、それを口にすると、「デフレを容認するのか」と叩かれる。もうこの人たちは農協と一緒(^_^;)。
 為替はデフレの原因じゃないでしょう。いったいこのデフレはもう何年続いてますか? デフレの主要因は、明らかに国内要素と、桁違いの価格で押し寄せる中国製品です。それは為替で解決できる問題ではありません。
 自動車メーカーが苦しい理由は、為替だけじゃないでしょう。これも一要因に過ぎない。昨年は、震災被害がありタイの水害もあった。今年はまたトヨタの売り上げが戻ることを期待したいけれど、たとえばヒュンダイなんて所は、北米市場で、そんな無茶なセールスをしても儲けなんて出ないだろうという商売をしている。そういう連中との価格競争を強いられたら、僅かな儲けが為替で吹き飛ぶのは解り切った話です。
 自動車は今後もコモディティ化が進み、トヨタがどんなに頑張ろうが、円安になろうが、いずれは中韓に世界市場を奪われるでしょう。我々に出来ることは時間稼ぎだけです。もう10年は十分持つとは思うけれど。
 日本の外貨の相当部分を稼いで来たのは、この四半世紀、自動車でした。自動車で外貨稼ぎが出来なくなったらどうすれば良いのか?
 外貨が稼げなくなったら、円高はそこで終わります。貿易収支が万年赤字に陥った後、経常収支の黒字をずっとキープできるか否かは疑問です。その後には、果てのない円安とインフレが見舞い、同時に国債も弾けるでしょう。
 20年40年というスパンで考えれば、いずれは日本もアメリカのように製造業の空洞化を招くかも知れないけれど、まだ出来ることはある。輸出できる農業への変革。自動車に代わる牽引役の育成。イノベーション。要は、中韓と競争せずに済む分野でのビジネスです。
 新幹線はまだまだいける。これからはリニアもある。原子力発電、炭素繊維などの素材や材料、工作機械、諸々のプラント。航空機用エンジンに関して、日本のメーカーも日々技術が向上しています。いずれは、ボディからエンジンに至るまで、エアバスやボーイングに匹敵するメーカーをオールジャパンで作り上げることも夢ではない。
 多少の為替変動では影響を受けない商品を、私たちはすでに持っているし、今後ともその分野に傾注して外貨を稼ぎ続けることです。
 円高は、私たちが将来のビジョンを描く絶好の機会を与えてくれている。仮に、輸出企業にとって心地よいレートに留まってくれる円安が政策的に可能だとして(私は無理だと思う)、そこで一時凌ぎできたとしても、それは単なる対処療法、時間稼ぎに過ぎず、経営者を錯覚させるだけで、根本治療にはならない。
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